チェルシー超特急!
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陰祭りのようなもの
「イワシロマーケット」開催と、ガクリンの誕生日を祝して。
おめでとうございます!
記念といってはなんですが、ガク姫SSです。
キャンディ・スウィート
住人の誕生日にはパーティーが開かれる。
ひめのんと雪乃さんの手料理にくわえ、
客人たちが持ち寄った菓子や果物がテーブルに山と並ぶ。
それは談笑やゲームやこぜりあいの傍ら
どんどん生者たちの胃袋へと消えてゆくが、霊たちの分け前も確保される。
取り皿に盛られ、それぞれの部屋にしばらく供えられた後、
このアパートの生きている住人すなわち、
桶川親子、明神がおいしくいただくのだった。
俺の分は、後にひめのんの栄養分となる約束だ。
今日はいちおう、俺が主役ということになっている。
スウィートが俺の誕生日を祝うために、
腕によりをかけて御馳走を作ってくれた。
こんな嬉しいことはない。
食べ物がほしいのではなく、
俺のために料理してくれたことが嬉しいのだ。
けれど、
俺が咀嚼し消化吸収することのできない姫乃の手料理を、
他の男が食べるという事態に心底穏やかな気分でいられるほど、
俺は人間ができてはいない。
それができるくらいなら、多分、俺はこの世に留まっていまい。
この日は、だから、嬉しいけれど少し複雑な気分になる日だ。
☆ ☆ ☆
俺が宴席の賑わいをしばし離れ、
自分の部屋で、俺のぶんとツキタケのぶんのケーキを眺めていると、
「ガクリン。」
ひめのんが様子を見に来てくれた。
「みんなには内緒だよ。」
俺に近づいて、いたずらっぽく微笑む。
うながされて少し屈んだら、
背伸びした姫乃の顔が近づいた。
はっとするほどの至近距離に。
すぐ、その可愛い顔が近づきすぎて見えなくなった。
この体勢は、つまり――。
俺の全存在を、電撃が駆け抜けた。
姫乃の何かが、俺の唇のあいだに入ってきた。
甘酸っぱさが口の中にひろがり、それは舌の上に転がった。
俺のスウィートはいちごみるくのように甘い。
いや、そうじゃなくて、これは――。
キャンディをくれたのだ。
口移しで。
澪さんが剄伝導でもしてくれたのだろう。
しびれた頭の芯でようやく事態を把握した時、
姫乃は背を向けて、小走りに部屋を出てゆくところだった。
「待って、ひめのん」
彼女は振り返る。その頬が紅潮している。
――ひめのんは、恥ずかしかったんだ。俺は今、ひめのんを困らせているのか?
でも止まらなかった。言おうとしていたことを言った。
「お返しがしたいんだ。」
戻ってきたひめのんに、俺はさっきのように顔を近づけた。
口の中で、キャンディを落とさないように舌先で支えながら。
練乳いちごの味がする塊を、
姫乃の口唇にあてがいながら舌先でゆっくりと押し出すと、
柔らかく、かすかに開いて、中に入っていく感覚があった。
ひめのんは、こんどは走り去っていかなかった。
その耳元で、俺は願った。
「ねえ……もっと、さっきみたいに、したい。」
うっとりとした目で俺を見上げ、
爪先立ちになって俺に顔を近づけた。
いちごみるくは、再び俺のものになった。
ひめのん、この1粒のキャンディがきみの感触を伝える。
それは幾度となく君と俺の口許を往復したり
両方から押し潰されそうになったりしながら、
君の体内へ溶けてゆく。
離れないように、キャンディを落とさないように気にしながらだけど、
こうしていると、本当にキスしているみたいだ。
キャンディが溶けるまで、それとも、澪の術の効果が消えるまで。
甘い甘い錯覚に浸ろう、マイ・スウィート。
いや、錯覚ではない。
俺は、本当に望みのものを手にしている。
俺と同じように君も、
唇を重ねたいと想ってくれることを。
(fin)
おめでとうございます!
記念といってはなんですが、ガク姫SSです。
キャンディ・スウィート
住人の誕生日にはパーティーが開かれる。
ひめのんと雪乃さんの手料理にくわえ、
客人たちが持ち寄った菓子や果物がテーブルに山と並ぶ。
それは談笑やゲームやこぜりあいの傍ら
どんどん生者たちの胃袋へと消えてゆくが、霊たちの分け前も確保される。
取り皿に盛られ、それぞれの部屋にしばらく供えられた後、
このアパートの生きている住人すなわち、
桶川親子、明神がおいしくいただくのだった。
俺の分は、後にひめのんの栄養分となる約束だ。
今日はいちおう、俺が主役ということになっている。
スウィートが俺の誕生日を祝うために、
腕によりをかけて御馳走を作ってくれた。
こんな嬉しいことはない。
食べ物がほしいのではなく、
俺のために料理してくれたことが嬉しいのだ。
けれど、
俺が咀嚼し消化吸収することのできない姫乃の手料理を、
他の男が食べるという事態に心底穏やかな気分でいられるほど、
俺は人間ができてはいない。
それができるくらいなら、多分、俺はこの世に留まっていまい。
この日は、だから、嬉しいけれど少し複雑な気分になる日だ。
☆ ☆ ☆
俺が宴席の賑わいをしばし離れ、
自分の部屋で、俺のぶんとツキタケのぶんのケーキを眺めていると、
「ガクリン。」
ひめのんが様子を見に来てくれた。
「みんなには内緒だよ。」
俺に近づいて、いたずらっぽく微笑む。
うながされて少し屈んだら、
背伸びした姫乃の顔が近づいた。
はっとするほどの至近距離に。
すぐ、その可愛い顔が近づきすぎて見えなくなった。
この体勢は、つまり――。
俺の全存在を、電撃が駆け抜けた。
姫乃の何かが、俺の唇のあいだに入ってきた。
甘酸っぱさが口の中にひろがり、それは舌の上に転がった。
俺のスウィートはいちごみるくのように甘い。
いや、そうじゃなくて、これは――。
キャンディをくれたのだ。
口移しで。
澪さんが剄伝導でもしてくれたのだろう。
しびれた頭の芯でようやく事態を把握した時、
姫乃は背を向けて、小走りに部屋を出てゆくところだった。
「待って、ひめのん」
彼女は振り返る。その頬が紅潮している。
――ひめのんは、恥ずかしかったんだ。俺は今、ひめのんを困らせているのか?
でも止まらなかった。言おうとしていたことを言った。
「お返しがしたいんだ。」
戻ってきたひめのんに、俺はさっきのように顔を近づけた。
口の中で、キャンディを落とさないように舌先で支えながら。
練乳いちごの味がする塊を、
姫乃の口唇にあてがいながら舌先でゆっくりと押し出すと、
柔らかく、かすかに開いて、中に入っていく感覚があった。
ひめのんは、こんどは走り去っていかなかった。
その耳元で、俺は願った。
「ねえ……もっと、さっきみたいに、したい。」
うっとりとした目で俺を見上げ、
爪先立ちになって俺に顔を近づけた。
いちごみるくは、再び俺のものになった。
ひめのん、この1粒のキャンディがきみの感触を伝える。
それは幾度となく君と俺の口許を往復したり
両方から押し潰されそうになったりしながら、
君の体内へ溶けてゆく。
離れないように、キャンディを落とさないように気にしながらだけど、
こうしていると、本当にキスしているみたいだ。
キャンディが溶けるまで、それとも、澪の術の効果が消えるまで。
甘い甘い錯覚に浸ろう、マイ・スウィート。
いや、錯覚ではない。
俺は、本当に望みのものを手にしている。
俺と同じように君も、
唇を重ねたいと想ってくれることを。
(fin)
by rann-no
| 2009-10-11 00:53
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