チェルシー超特急!
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たまにはこんなみえるSS
下書きなので人称がバラバラです。
ツキタケ誕生日SSはもっと明るい感じのをこれから考えます。
いじわる
木槌が弧を描けば、少年は跳び退る。
着地と同時に地を蹴って、折れたバットを振り下ろすと、
地上の男に槌の柄で受け止められ、激突の音が響く。
ひゅう、と彼等の頭上で口笛を吹く者がいた。
絵のように静止していた両者はまた打合いを始め、
金属と木のぶつかる音に混じって、何でお前ばっかり、などと声が聞こえた。
エージとガクは、向こう1週間、姫乃と二人で登下校する権利をかけて
勝負しているのだ。
挑んだのはガクからで、たしかに登下校に関しては
エージばかりが姫乃と一緒だった。
建物を疵付けたら反則負け、と姫乃から言い渡されているのが
ガクにとってのハンデのようなものだった。
その姫乃は、今日は帰りに友達と寄るところがあるので、
どちらとも一緒に帰る約束はない。
どちらかが良い動きをすれば、それがどちらであっても感心し、
片方が押されることが続けば不利なほうに声援を送る。
そんなツキタケを見て、屋根の上での観戦に途中から加わったアズミは問うた。
「どっちの味方なの?」
少し間を置いて、答えた。
「どっちなんて、ねえよ」
「うそだぁ」
納得しない幼子に、さっきより長い沈黙ののち、ツキタケは言った。
「じゃあ、オイラの質問にアズミが答えられたら、オイラも答えるよ」
「うんっ」
アズミはきっぱりと頷いた。ほとんど意地だ。
「アズミは、父ちゃんと母ちゃん、どっちが好きだ?」
「ツキタケのいじわる。えらべるわけない」
「オイラも同じだよ」
アニキはいつか言っていた。
傷ついても、寂しくても、好きになれる人がいるのは、幸せなことなのだと。
この人の恋を応援したいと心から思う。
オイラが最も尊敬する人――かなしい人。
姫乃のそばにいると時折見せる、救われたような表情をみると、
自分も気持ちが安らぐ。
しかし、応援したい人がアニキだけだったのは過去のことだ。
今は友達がいる。
エージは好意を表に出そうとしないが、
二人並んで歩くひとときが彼にとっていかに大切か。
それに――いつか、そう遠くない将来、
姫乃が選ぶのはガクでもエージでもないとわかっている。
今は、好きでいることを存分に楽しめばいい。
死者に残るものは、想い。
自分たちには、もうソレしかないのだから。
屋根の上の子供達は、姫乃を含む女の子の群れを認めた。
友達と何やら話している姫乃の表情と声には、
うたかた荘にいる時とはまた違った明るさがある。
賑やかだな、と思って眺めていたら、
姫乃は他の子たちと別れて正門から入ってきた。
いつのまにか休戦していたガクとエージが姫乃を出迎えると、
二人はそれに倣って屋根から下りた。
「ヒメノ、なんだかきれいになったみたい」
ツキタケは言われて気づいたが、姫乃の肌はより白く、唇が艶めいている。
うすく化粧をしているのだった。
さっきまで一緒だった友達の誰かに教えてもらっていたのだろうか。
うっとりと姫乃を見ているガクからつい目をそらした。
姫乃が美しくなるたび「いつか」が近づいている。
アニキもきっとそのことに気づいているのに……。
――ねーちゃん、もう少しだけ…オイラ達のために子供でいてくれないか…?
(了)
ツキタケ誕生日SSはもっと明るい感じのをこれから考えます。
いじわる
木槌が弧を描けば、少年は跳び退る。
着地と同時に地を蹴って、折れたバットを振り下ろすと、
地上の男に槌の柄で受け止められ、激突の音が響く。
ひゅう、と彼等の頭上で口笛を吹く者がいた。
絵のように静止していた両者はまた打合いを始め、
金属と木のぶつかる音に混じって、何でお前ばっかり、などと声が聞こえた。
エージとガクは、向こう1週間、姫乃と二人で登下校する権利をかけて
勝負しているのだ。
挑んだのはガクからで、たしかに登下校に関しては
エージばかりが姫乃と一緒だった。
建物を疵付けたら反則負け、と姫乃から言い渡されているのが
ガクにとってのハンデのようなものだった。
その姫乃は、今日は帰りに友達と寄るところがあるので、
どちらとも一緒に帰る約束はない。
どちらかが良い動きをすれば、それがどちらであっても感心し、
片方が押されることが続けば不利なほうに声援を送る。
そんなツキタケを見て、屋根の上での観戦に途中から加わったアズミは問うた。
「どっちの味方なの?」
少し間を置いて、答えた。
「どっちなんて、ねえよ」
「うそだぁ」
納得しない幼子に、さっきより長い沈黙ののち、ツキタケは言った。
「じゃあ、オイラの質問にアズミが答えられたら、オイラも答えるよ」
「うんっ」
アズミはきっぱりと頷いた。ほとんど意地だ。
「アズミは、父ちゃんと母ちゃん、どっちが好きだ?」
「ツキタケのいじわる。えらべるわけない」
「オイラも同じだよ」
アニキはいつか言っていた。
傷ついても、寂しくても、好きになれる人がいるのは、幸せなことなのだと。
この人の恋を応援したいと心から思う。
オイラが最も尊敬する人――かなしい人。
姫乃のそばにいると時折見せる、救われたような表情をみると、
自分も気持ちが安らぐ。
しかし、応援したい人がアニキだけだったのは過去のことだ。
今は友達がいる。
エージは好意を表に出そうとしないが、
二人並んで歩くひとときが彼にとっていかに大切か。
それに――いつか、そう遠くない将来、
姫乃が選ぶのはガクでもエージでもないとわかっている。
今は、好きでいることを存分に楽しめばいい。
死者に残るものは、想い。
自分たちには、もうソレしかないのだから。
屋根の上の子供達は、姫乃を含む女の子の群れを認めた。
友達と何やら話している姫乃の表情と声には、
うたかた荘にいる時とはまた違った明るさがある。
賑やかだな、と思って眺めていたら、
姫乃は他の子たちと別れて正門から入ってきた。
いつのまにか休戦していたガクとエージが姫乃を出迎えると、
二人はそれに倣って屋根から下りた。
「ヒメノ、なんだかきれいになったみたい」
ツキタケは言われて気づいたが、姫乃の肌はより白く、唇が艶めいている。
うすく化粧をしているのだった。
さっきまで一緒だった友達の誰かに教えてもらっていたのだろうか。
うっとりと姫乃を見ているガクからつい目をそらした。
姫乃が美しくなるたび「いつか」が近づいている。
アニキもきっとそのことに気づいているのに……。
――ねーちゃん、もう少しだけ…オイラ達のために子供でいてくれないか…?
(了)
by rann-no
| 2011-06-04 01:08
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