チェルシー超特急!
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犬塚ガク生誕祭2013
おめでとうございます!
恒例の(?)ガク姫SSです。
胡蝶
俺は夢を見ているのか?
君は感極まった瞳でうなずき、身を任せた。
この腕のなかには君の柔らかさ、そして温もり。
俺はずっと……こうしたかったんだ。
☆ ☆ ☆
「ガクリン、起きて」
パーティーの用意はすっかり整ったというのに、今日の主役は朝寝坊。
相手が霊では、体をゆすったり叩いたりしようがないので声がすべてだ。
2号室に起こしに来ている姫乃は、
眠るガクの傍らに屈みこんで思いきり顔を近づける。
「ガクリンってば」
ガクは目を薄くやがてしっかりと開き、しばし間をおいて「おお?」と呟いた。
「……ある意味素晴らしい目覚めじゃないか……。
寝ても覚めてもひめのん……」
まだ寝ぼけているようだが「目覚め」と口にしたから起きたのだろう。
それから姫乃のほうへ手を伸べるも霊の悲しさ、その手は彼女を素通りした。
ガクが少し変なのはいつものことである。姫乃はとびきりの笑顔を向けた。
「ハッピーバーズデー! みんな待ってるよ」
居間へ連れ出そうとするも、本人は寝ころんだまま
「この角度から見るひめのんもイイ……」
などと言うので姫乃は枕元に留まった。
「いま、君の夢を見てた」
「そうなの? どんな夢?」
こんな時は多少時間をとられても話を聞くほうがいい。
パーティーよりも姫乃を独り占めするほうを好きだと知っている。
「……思い出せない。けど幸せな気分なんだ。
ひめのんと一緒に過ごしていたような……
……そうだ、君と本当に抱きしめ合えたらあんな気分だろうな」
姫乃の胸の奥に甘い苦しみが芽吹いた。
ガクは、霊感のある姫乃の目に生者と変わりなく映ろうとも、やはり違う。
その姿は、触れようとすれば通り過ぎてしまう影。
その魂は命あるころと変わらず、否、
たやすく満たせない望みであればなおのこと、愛に焦がれているというのに。
彼の渇望を思うと、姫乃の胸も締めつけられる。
その切なさには、恋をされる悦びも一滴、混じっていた。
――私だってガクリンに触れたいのに……
心の声が口に出すには恥ずかしいことを語り始める前に、
姫乃はごく素朴な質問をした。
「夢の中の私は、ガクリンに触れられるの?」
「うん……そんな気がする……」
ガクは遠くを見る目をした。せめて夢の中では、という願望かもしれない。
無理もない。
夢なら、生者と死者の隔たりも、出会うまでの時間も跳び越えられる。
起こすのはもう少し経ってからのほうが良かったのかな、と姫乃は思う。
ガクは眼を細め、見慣れた者だけにそうと分かる笑みを浮かべた。
「何だよ、マイスウィート、夢の中の君にヤキモチを焼いているのか?」
「やぁだ。そんなんじゃないよ」
照れ笑いして否定したが、こんな時言葉は意味をなさない。
そうでなくても、噛みあわない会話を幾度となく交わしてきたガクである。
おもむろに上体を起こし、姫乃の耳元に顔を近づけた。
「安心してくれ。本物の君との間に愛がなければ、夢の中の君も存在しえない」
姫乃は未だに慣れることができず、耳まで赤くなった。
ふだんは感情表現が不器用なくせに、
突如あたりまえのように「愛」などと口にするこの男のペースに。
「もう、行くよ。皆待ってるんだから」
立ち上がって足早に部屋を出ようとする姫乃に、ガクがついて来る。
姫乃は歩調をゆるめた。
「ねえ、ガクリン、今年もいっぱい思い出つくろうね。
夢の材料をいっぱい集めよう」
――そしていっぱい私の夢を見て、夢の中では、いっぱい抱きしめてね。
(fin)
恒例の(?)ガク姫SSです。
胡蝶
俺は夢を見ているのか?
君は感極まった瞳でうなずき、身を任せた。
この腕のなかには君の柔らかさ、そして温もり。
俺はずっと……こうしたかったんだ。
☆ ☆ ☆
「ガクリン、起きて」
パーティーの用意はすっかり整ったというのに、今日の主役は朝寝坊。
相手が霊では、体をゆすったり叩いたりしようがないので声がすべてだ。
2号室に起こしに来ている姫乃は、
眠るガクの傍らに屈みこんで思いきり顔を近づける。
「ガクリンってば」
ガクは目を薄くやがてしっかりと開き、しばし間をおいて「おお?」と呟いた。
「……ある意味素晴らしい目覚めじゃないか……。
寝ても覚めてもひめのん……」
まだ寝ぼけているようだが「目覚め」と口にしたから起きたのだろう。
それから姫乃のほうへ手を伸べるも霊の悲しさ、その手は彼女を素通りした。
ガクが少し変なのはいつものことである。姫乃はとびきりの笑顔を向けた。
「ハッピーバーズデー! みんな待ってるよ」
居間へ連れ出そうとするも、本人は寝ころんだまま
「この角度から見るひめのんもイイ……」
などと言うので姫乃は枕元に留まった。
「いま、君の夢を見てた」
「そうなの? どんな夢?」
こんな時は多少時間をとられても話を聞くほうがいい。
パーティーよりも姫乃を独り占めするほうを好きだと知っている。
「……思い出せない。けど幸せな気分なんだ。
ひめのんと一緒に過ごしていたような……
……そうだ、君と本当に抱きしめ合えたらあんな気分だろうな」
姫乃の胸の奥に甘い苦しみが芽吹いた。
ガクは、霊感のある姫乃の目に生者と変わりなく映ろうとも、やはり違う。
その姿は、触れようとすれば通り過ぎてしまう影。
その魂は命あるころと変わらず、否、
たやすく満たせない望みであればなおのこと、愛に焦がれているというのに。
彼の渇望を思うと、姫乃の胸も締めつけられる。
その切なさには、恋をされる悦びも一滴、混じっていた。
――私だってガクリンに触れたいのに……
心の声が口に出すには恥ずかしいことを語り始める前に、
姫乃はごく素朴な質問をした。
「夢の中の私は、ガクリンに触れられるの?」
「うん……そんな気がする……」
ガクは遠くを見る目をした。せめて夢の中では、という願望かもしれない。
無理もない。
夢なら、生者と死者の隔たりも、出会うまでの時間も跳び越えられる。
起こすのはもう少し経ってからのほうが良かったのかな、と姫乃は思う。
ガクは眼を細め、見慣れた者だけにそうと分かる笑みを浮かべた。
「何だよ、マイスウィート、夢の中の君にヤキモチを焼いているのか?」
「やぁだ。そんなんじゃないよ」
照れ笑いして否定したが、こんな時言葉は意味をなさない。
そうでなくても、噛みあわない会話を幾度となく交わしてきたガクである。
おもむろに上体を起こし、姫乃の耳元に顔を近づけた。
「安心してくれ。本物の君との間に愛がなければ、夢の中の君も存在しえない」
姫乃は未だに慣れることができず、耳まで赤くなった。
ふだんは感情表現が不器用なくせに、
突如あたりまえのように「愛」などと口にするこの男のペースに。
「もう、行くよ。皆待ってるんだから」
立ち上がって足早に部屋を出ようとする姫乃に、ガクがついて来る。
姫乃は歩調をゆるめた。
「ねえ、ガクリン、今年もいっぱい思い出つくろうね。
夢の材料をいっぱい集めよう」
――そしていっぱい私の夢を見て、夢の中では、いっぱい抱きしめてね。
(fin)
by rann-no
| 2013-10-11 22:37
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